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移住者メッセージ

介護現場と青森の街中に「新しい」をもたらす

   

2020年2月 3日:更新

移住者メッセージ

プロフィール

   
中村公一(なかむらこういち)さん/
1978年、五所川原市出身。青森市在住。
都内の大学に進学・卒業後、都内の映像制作会社を経て2005年に渡米。
ニューヨークフィルムアカデミーを卒業後、SOHOにあるナイトクラブ兼レコードレーベル「Club shelter」でPR、ブランディング業務を担当。
2008年に帰国後、東京の広告制作会社にアートディレクターとして勤務していたが、他界した両親が青森県内で手掛けていた病院と介護施設の事業を受け継ごうと、受け継ぐことになり2009年にUターン。
現在は、介護施設を運営する株式会社大五舎の代表、医療法人守生会の専務理事を務める。
そのほか、移住後に起業した株式会社クロックアップの代表取締役として、青森市内のカフェダイニング「PENT HOUSE」等の飲食事業、イベント企画事業、商品プロデュース事業、メディア事業、ブランディング広告制作事業、空間デザイン事業など、地域を盛り上げる活動を幅広く手掛けている。

 青森に住んでいると「遊ぶところがない」や「新しいことを始めても」という少しマイナスな言葉を耳にすることがあります。「僕も住み始めた当初はそう感じていました。じゃあ自分で遊びたい場所を作ってしまおうと考えたんです。そうすれば青森で楽しく暮らせるんじゃないかなと」。
 そう話すのは中村公一さん。これから必要性が高まっていく介護や医療の業界と向き合う傍ら、株式会社クロックアップを立ち上げて飲食店やデザイン事業を展開しています。
 中村さんが手掛ける仕事は、今までの青森にはなかったモノやコトばかり。そのアイディアを支えるのは東京とニューヨーク、2つの大都市で暮らした経験です。

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憧れていた音楽の世界

 五所川原市出身の中村さん。中学・高校は弘前市や石川県、北海道と、親元を離れた生活を過ごします。そんな学生時代に憧れたのが音楽と映像の世界です。
「マイケル・ジャクソンのミュージックビデオを見て興味が湧きました。それで高校時代からはDJを始めたんです。」

 お父さんが医師だったことから医学部への進学を強く勧められるも、1年かけて両親を説得し、都内の大学へ進みます。大学では映像サークルに属して、自主映画の製作に熱中しながら、夜はDJとして人前に立つ毎日でした。
 卒業後に進んだのはもちろん音楽関係の映像制作会社。CDジャケットやミュージックビデオの制作を任され、担当のアーティストも順調に売れていきます。その一方で、仕事への疑問もありました。
「プロデューサーという立場だったのですが『若い』という理由で軽く見られている感じがありました。日本にいても成長が遅れる気がして渡米を決意しました。」新天地のニューヨークへ渡ったのは28歳のときです。

 異国での生活は東京とはまた違う刺激的なものでした。フィルムアカデミーで映像の知識を身につけた後に、東京での経験を活かして現地のレコードレーベルでブランディングを担当。DJとしても有名なクラブでレギュラーを務めるなど、生活はニューヨークに溶け込んでいました。
「ニューヨークは人の入れ替わりが激しくて、友達ができてもすぐに去ってしまうんです」と中村さん。充実した海外生活でしたが、辛さと喜びを分かち合えないことに孤独感を募らせていました。自身の将来を見据え、旧知の先輩が経営する会社に誘われたこともあり、日本でやり直すなら今だと決意し、2008年にニューヨークを後にします。

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考えていなかった帰郷、初めて知る介護の世界

 東京の広告制作会社でアートディレクターとして再スタートを切って間もなく、お母さんが病気で他界してしまいます。遺されたのが、両親が五所川原市で経営していた病院と介護施設の事業でした。それまで青森に戻って家業を継ぐことは、考えてもいなかった中村さんですが、「自分の『やりたくない』という気持ちだけでは通用しない重い仕事でした。入所者や従業員のことを考えると、無くすわけにはいきませんから。」  

 介護や医療の知識は皆無だったので、仕事を始めるとわからないことばかり。求められたのは経営者としての役割ですが、積極的に介護の現場を手伝いながら、専門用語と仕事を体に叩き込みました。実際に現場に入ることで課題も見つけることができ、経営面にも大いに役立っています。  
 そのひとつが認知症に対する意識でした。中村さんが戻ってきたころは、認知症になった身内を施設に預けるということに罪悪感を持つ人も多く、理解も対応も整っていなかったといいます。自身も、知識を身につけるまではネガティブなイメージを抱いていました。
 風潮を変えるべく着手したのが、運営するグループホームの建て替えです。既存の多くの施設は無機質でグレーのイメージが強く、テーブルを並べただけの食堂で、入居者も職員も閉鎖的に感じられるような空間でした。
「もう少し明るい雰囲気の施設があってもいいのかな、と思っていました。家族の方が『来たい』と思えるような施設なら、入居者の方も頻繁に会えて嬉しいと思う。認知症の方にとって家族と話すことは、大切なことなんです」
 〝家族が会いに来たいと思える場所〟をコンセプトにした施設は2015年に完成。大きな窓からは陽光が差し込み、照明やインテリアなど細部にもこだわりが感じられる空間は、介護施設には見えません。「お孫さんたちは『泊まりたい』って言って、家族が頻繁に訪れるようになりました。認知症の方にとっては顔を忘れにくく、家族も症状を常に把握できます。何より入所者の方がここにいることを誇らしく思っているみたいで、表情も朗らかになりました」と中村さん。
 
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 また、職員のことを考えてソフト面も工夫しました。今までは採用面接時が初めての来社日という場合がほとんどで、職場の雰囲気を知らずにくるので採用通知を出しても辞退するというケースもありました。同施設では面接前の施設見学を採り入れているので、「入社してみたら違った」という事態が起こらないよう努力しています。「介護職は給料面では大差がないので、選んでもらうには『自分に合った雰囲気』が重要です。『入ったら違った』というケースは互いに良くないので、雰囲気の可視化に力を入れています」と中村さんは少し熱っぽく話してくれました。



自分が住んでいて楽しい場所に

 一方で、各地を転々とする学生時代だったので地元に知り合いが少なく、福岡出身の父の影響もあり津軽弁を上手に話せないことにもコンプレックスを感じていました。そんな時に手を差し伸べてくれたのが小学校時代の同級生。その同級生の紹介で県内の面白い人達と知り合い、次第に青森市や弘前市にも行く回数が増えました。
「気持ちを共有する仲間がいないのは辛いこと。僕の場合は同級生と知り合えたのがラッキーでした。エリアごとに移住者が交流できる場所やコミュニティがあれば、助かると思います。」と中村さん。

 次第に仲間が増え、五所川原市から友人が多い青森市へ住まいを移します。遊ぶ機会も増え、青森市への理解を深めていくと、「遊ぶ場所が少ない」ということが気になるようになります。
「少し背伸びして行く場所があればいいなと思ってました。それに映像やデザインの仕事を再びやりたくて(笑)。」
 2012年にオープンした「PENT HOUSE」はインテリアからメニュー、コンセプトに至る全てが デザインされた空間で、席に腰をおろすだけで海外にいるような気持ちにさせてくれます。カフェレストランでありながら、クロックアップという会社の仕事ぶりを伝えるモデル店の役割も担っています。
 また、2015年には「気軽に立ち寄れるコーヒースタンド」をコンセプトに、コーヒーショップ「COFFEEMAN good」をオープン。
「コーヒーを片手に出社するのがニューヨーカーの日常。僕も憧れてコーヒースタンドに毎朝立ち寄っていました。そこでは『今日は元気だね』とか、コーヒーを買う数分の間に会話があるんです。」中村さん曰く、そこは美味しいコーヒー屋でありながら、コミュニティ屋。今では知らない人同士での会話が自然と始まったり、バリスタとの会話を求めて来る人も多い中心街のホットスポットです。

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エリアの課題の解決が事業になる

 中村さんが事業を始める時に大切にしているのが「地域の課題と向き合う」ということです。例えば新規出店するときは「数年後にビーチができる。そこでハンバーガーを食べられたら素敵なので今のうちに準備をしよう」というように、街全体をショッピングモールのように見立てて、あれば面白そうなものを配置します。
「自分の店だけじゃなく、エリアに人を呼び込む仕掛けを一番に考えます。田舎で何かを始めるなら、地域の課題とやりたい仕事が同じベクトルであることが重要。地域に求められる内容なら、必ず応援してくれる人が出てきますよ。」
 中村さんが何かを始めたときも、問題が起きた時にフォローしてくれたり、新たな取組を始める時に支えになったのは人でした。  
 
 青森に戻って10年。新たなチャレンジを重ねてきた中村さんにとって青森は「自己表現しやすい場所」というふうに映っています。
「無いものが多いので、面白い場所やコトを自分で生むことができます。また、食材や自然のように当たり前に存在してきたものが、注目されていない場合もあってチャンスだらけ。新しいことを始めたいなら青森は最高の場所ですよ。」

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中村さんが代表を務める「株式会社クロックアップ」のwebサイトはこちら
https://www.qlockup.net/outline.html

今回ご紹介した事業のほかにも、青森をもっともっと楽しくするためのプロジェクトが掲載されています。



【イベント情報】
 9月28日土曜日に東京・銀座で開催する青森県の移住相談イベント「あおもり暮らしまるごと相談会」で、中村さんのお話が直接聞けます!  
 あおもりでの暮らしのヒントが得られるかも! この機会をお見逃しなく!
 ★☆あおもり暮らしまるごと相談会☆★
  
開催日時: 令和元年9月28日(土)13:00~16:00(受付12:30~)
  会  場: CONFERENCE BRANCH 銀座
   (東京都中央区銀座3-7-3 銀座オーミビル3階 JR有楽町駅中央口から徒歩5分)
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