移住者メッセージ

地域おこし協力隊採用を機に移住 佐井村のディープな魅力をさまざまな切り口で発信!

   

2021年4月30日:更新

移住者メッセージ

プロフィール

   
園山和徳(そのやまかずのり)さん/ 1984年、島根県出雲市生まれ。「一般社団法人くるくる佐井村」代表理事。島根県松江市に本社があるIT企業の東京支社で営業職に従事し、2013年、地域おこし協力隊採用を機に佐井村に移住。2014年に発足した地域活性化団体「一般社団法人くるくる佐井村」に関わり、観光プログラム・着地型ツアーの企画運営、特産品の販売を行う。2015年、同法人の事業の一環で、食べ物付き情報誌『下北半島食べる通信』を創刊(2018年春をもって休刊)。「佐井村アピオス農園」代表。野生生物の生態調査・保護管理対策などを行うNPO法人「北限の野生動物管理センター」会員。ニホンザル・野生鳥獣害対策・農林畜産業振興を行う合同会社「あうぶ」社員。そのほか、「福浦の歌舞伎上演実行委員会」事務局を務めるなど、多彩な活動を展開中。

下北半島の西側に位置する佐井村。海岸線沿いには、国の名勝および天然記念物に指定されている仏ヶ浦があり、全国の絶景ファンをとりこにしています。島根県出身の園山和徳さんは、2013年、佐井村の地域おこし協力隊採用を機に移住。佐井村では、3年間の地域おこし協力隊の任期終了後も、村の嘱託職員として2年間採用する独自の制度を採り入れています。園山さんは5年間の活動を経て、現在は「一般社団法人くるくる佐井村」の代表理事を務めています。佐井村のディープな魅力を伝えたいと、みずから特産品のアピオスを栽培して商品開発を行ったり、着地型・体験型の観光振興プログラムの作成や、伝統芸能の魅力発信など多彩な活動を行っています。

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IT企業の営業職として東日本と沖縄を駆け巡る日々

 園山さんは、大学卒業後、島根県松江市に本社のあるIT企業の東京支社で営業職として働いていました。当時、園山さんが営業販売を行っていたのは告知端末。これを各家庭に設置することによって、住民は役場からの定時放送や臨時放送、災害時の緊急情報などを受信したり、住民と役場が双方向で会話できるシステムを構築することができます。2011年7月にアナログから地上デジタルテレビ放送に完全移行するのを見据え、 園山さんは各自治体を対象に、ITシステムの導入に向けて営業活動を展開していました。

「当時勤務していた東京支社は、管轄が東日本全域と沖縄だったので、1カ月の半分は出張生活。営業で青森県にも訪れ、町村はほとんど回りました」。

 そんな園山さんが初めて佐井村を訪れたのは2008年のこと。毎年6月に行われる恒例の「佐井村ウニ祭り」の日でした。
「よそから来た私に対して、村の皆さんがすごくフレンドリーで。村長はじめ村民の方々が、地域活性化に情熱を燃やして一生懸命頑張っているという印象を受けました。村長は、『これから光ファイバーの時期が来るから頑張ってくれ!』と、握手までしてくれて。仕事柄、さまざまな地域の村長や町長に会いましたが、あの時のことはすごく印象に残っています。でも、結局、採用されたのは、うちではなく別の会社の端末だったんですけどね...(笑)」。

"地理的に遠い"が最大の魅力だった佐井村

 東京で多忙な毎日を過ごすうち、園山さんは移住について考えるようになりました。
「大学で地理学を専攻し、もともと地域情報の発信に興味があったんです。田舎に行けば行くほど情報の露出が少ないし、まだまだ知られていないものが眠っている。そういう場所から情報を発信していくことに魅力を感じていて、移住するなら遠ければ遠いほど面白そうだと思いました。そんな時、たまたま佐井村が地域おこし協力隊を募集しているのを知り応募したんです。」
 こうして2013年、園山さんは奥さんと佐井村に移住し、地域おこし協力隊に着任しました。

特産品販売・旅行観光業・伝統芸能の魅力発信と一人何役もかけもち

 佐井村では、2011年度から「あおい環プロジェクト」という村おこしの事業が立ち上がっていました。さらに、その事業から派生する形で2014年11月、地域活性化団体「一般社団法人くるくる佐井村」が発足。園山さんは、地域おこし協力隊時代から、特産品を販売する「あおい環オンラインショップ」の運営のほか、村おこしの事業をより円滑に進めるための観光事業に関わってきました。また、旅行業務取扱管理者の資格を取得し、体験プログラムの考案や着地型ツアーガイドなどを担当。まちあるきツアーや、冬季限定の仏ヶ浦ウォークなど、地域の暮らしにふれ地元の人と交流するツアーは、これまで佐井村を訪れる機会のなかった人からも好評を得ています。
 佐井村には、明治時代に上方の役者によって伝承され、130年余りにわたって村民が受け継ぎ守ってきた芸能「福浦の歌舞伎」があります。代々、演者は村人で構成されてきましたが、高齢化が進み演者が足りなくなるなか、園山さんは外部から演者を受け入れ広くPRすることで、地域に根付いた希少な文化を次世代につなごうとしています。大阪で郷土芸能を研究している人が、ぜひ出演したいと佐井村にやって来たこともあるといいます。


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下北半島の絶品食材と、つくり手の物語を届ける『下北半島食べる通信』

 園山さんは、「一般社団法人くるくる佐井村」の事業の一環で、2015年『下北半島食べる通信』を創刊しました。これは、2013年に岩手県で創刊された『東北食べる通信』の下北半島版。食のつくり手やそこにまつわるストーリーを特集した情報誌と、彼らが収穫した食材がセットになって定期的に届く食べ物付き情報誌です。地域に根ざす各地のクリエイターたちが制作を担当し、現在その拠点は国内30カ所以上、さらにその輪は海外にも広がっています。

 園山さんたち下北在住の編集スタッフが、創刊号のテーマとして選んだのは、なんと布海苔(ふのり)!
「他の地域が豪華で見栄えのする食材を取り上げているなか、なんで布海苔?!って驚かれましたが(笑)。やっぱり、あの岩にへばりついた布海苔を、血を流しながら手で採るっていうのがすごいなと...」。
  『下北半島食べる通信』は、2018年春をもって休刊になりましたが、園山さんたちは活動を通じて下北半島の食の魅力、つくり手の想いを全国に発信し続け、各方面から大きな反響を呼びました。

アピオス栽培と二ホンザルの生態調査を

 佐井村では、アピオス(アメリカホドイモ)の栽培に取り組んでいます。北米原産のアピオスは「インディアンの戦闘食」といわれるほどのスタミナ食で、佐井村ではニホンザルの食害に強い農作物として2012年から栽培を行っています。園山さんはご自身で「佐井村アピオス農園」を経営し、50アールの畑でアピオスを栽培しています。冬場に寒ざらしにして糖度を高めたアピオスと、アピオスの花を使ったお茶を商品化して県外の飲食店や地元の土産物店、ネットなどで販売しています。さらに、オリジナルのお土産品開発にも挑戦し、青森県産業技術センター下北ブランド研究所などの協力を得て「あまこいアピオス」を商品化。常温で持ち歩くことができるため、お土産品として人気を呼んでいます。

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 さらに、野生生物の生態調査・保護管理対策などを行うNPO法人「北限の野生動物管理センター」の会員としても活動しています。
「行政から委託を受け、農業被害を及ぼしそうなサルの群れが何群いて、それぞれの群れに何頭のサルがいるか調査しています。それをもとに市町村が管理計画をつくるんです。毎年、全国から学生が下北に来て一緒に調査しています」。

北前船が運んだヒト・モノ・コト オープンでよそ者も溶け込みやすい土地柄

 移住後は、特に問題なく地域のなかにすんなり溶け込めたと語る園山さん。
「佐井村は北前船の寄港地として栄えたところで、もともと海路を通じてこの地に入ってきた人たちが多い土地柄。なので、皆さんすごくフレンドリーで、よそ者を受け入れやすいのかもしれませんね」。
 園山さんは、首都圏で暮らしていた頃に比べて、生活意識も大きく変わったと語ります。
「首都圏に住んでいると、買い物や外食は時間の制限なくいつでも可能。それがあたりまえでした。でも、ここでは、海がしけているかどうかで日常生活や仕事の予定ががらりと変わってしまう。決して抗えない大自然とともに暮らしているので、自然に合わせて生活していかなければならないんです。」。

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ピンチをチャンスに変え、国内屈指の絶景を発信したい!

 新型コロナウイルスは、園山さんたちが運営している旅行業にも大きなダメージを与えました。昨年は、旅行会社を通じて開催予定だったツアーも予約のキャンセルが相次いだといいます。しかし、園山さんは、「こんな時だからこそ、チャンスに変えていきたい」と、抱負を語ります。
「コロナ禍で、海外の秘境から国内の秘境へと目が向けられている今、『青森県には仏ヶ浦というすごい絶景があるらしい』と注目が集まっています。私たちはもともと少人数向けのツアーを実施してきたので、そうした秘境ファンのニーズに対応できる強みがあります。コロナが収束したら、もっとツアーに力を入れ佐井村の魅力をアピールしていきたいですね。本州の最果てにある佐井村は、可能性がたくさん。人間の体も末梢神経まで血が行き渡れば健康になるように、本州の一番隅っこに効果を及ぼそうとすると、その途中にもお金が落ちるなど、地域活性化につながると思うんです。なので、今後も末梢神経を温めるような活動に力を注いでいきたいと思っています」。
 マルチな才能とフットワークの軽さを武器に、地域のキーマンとして活躍する園山さん。Iターン者ならではの視点を生かし、魅力を発信しています。

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