移住者メッセージ

十和田湖・奥入瀬渓流の自然に一目惚れして北海道から移住

   

2020年2月 3日:更新

移住者メッセージ

プロフィール

   

ネイチャーガイド 村上周平さん

ネイチャーエクスペリエンス グリーンハウス(NEx)所属。カヌーガイド、ネイチャーガイド。
1980年、北海道栗山町に生まれ、おもに岩見沢市で育つ。
恵庭市のアウトドア専門学校卒業後、2007年に十和田市移住。妻・息子の3人家族。


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カヌーツアーでは参加者自らカヌーを操り、十和田湖の自然を自分のペースで味わいつくすことができる。4月~11月の開催で、新緑や湖水、紅葉と季節ごとに違った風景に出会えるのも魅力。村上さんをはじめとしたガイドによる基礎レクチャーがあるので、未経験者でも安心。4歳から参加でき、ペットも同乗OK。

村上さんが案内する十和田湖の新しい楽しみ方、早朝カヌーツアー

青森県十和田市と秋田県小坂町にまたがる十和田湖は、国内有数の名勝地として知られる。澄みきった湖水は約14㎞続く渓流へとつながり、「十和田湖及び奥入瀬渓流」として特別名勝および天然記念物にも指定されている。

そんな十和田湖に色あざやかな舟影が並ぶ。十和田湖、奥入瀬渓流をフィールドに、ネイチャーガイドを務める村上周平さんの一行だ。早朝カヌーツアーは午前5時から始まり、外輪山の奥からのぼる朝日を拝んだあとは、湖上で紅茶とブラウニーを堪能する。湖面をすべるように進みながら水鳥の目線で森を眺めると、人間もまた自然の一部であることを思い出す。

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早朝カヌーツアーの様子。

移住のきっかけは仕事、定住したのは森にほれたから

「移住のきっかけは仕事でしたけど、定住したのは森にほれたから。森がきれいだと心から思えたからここに住もうと決めたんです」
ブナの大木に触れながらこう語る村上さんは、生まれも育ちも北海道。高校卒業後、営業職や配達員などの職についたが、どれも長く続けたいとは思えなかった。そんなとき浮かんだのは、アウトドアが好きな父に連れられて行った山やキャンプの光景だった。悩んだすえに24歳で恵庭市のアウトドア専門学校に入学。授業で体験したラフティング(専用ゴムボートによる激流下り)のとりこになり、リバーガイドコースを選択した。入学1か月後には実習先のニセコでラフティングガイドの資格を取り、ガイドデビュー。先輩ガイドに教わりながら、現場でノウハウを体得していった。

市内から車で40分くらいで来られるのに森がすごく豊か

「川の状態もお客さんも毎日違う。知れば知るほど奥が深い世界にどっぷりハマりました」

卒業後はガイドを続けながらアウトドアショップスタッフに。ガイドに専念したい気持ちが募ってきたころ、チャンスが舞い込む。青森県で立ち上がるアウトドアツアー会社に、ガイドとして参加しないかというオファーだった。
青森のことも十和田湖のこともほとんど知らなかったが、意気込みのほうが強かった。村上さんは一人十和田市に移住し、それまで体験したことのない自然に出会う。
「市内から車で40分くらいで来られるのに森がすごく豊かなんです。長い年月をかけて、赤ちゃんからおじいちゃんまでいろんな世代の木で成り立っている。倒木や苔にも役割があっていろいろな環境が生まれ、その環境を利用する生き物が集まる。生命力を感じます」

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奥入瀬湧水館。

訪れる方一人一人の感じることを大事にしたい

十和田湖から流れ出た水は奥入瀬渓流を流れ、一部灌漑用水として田畑をうるおし、太平洋に注ぐ。十和田湖、奥入瀬渓流の自然に一目ぼれした村上さんの、ガイドとしての方針も変わってきた。

「自然を利用してアクティブに遊ぶ手法から、ゆっくり、のんびり自然を見るやり方にシフトしました。僕自身が感じた森の魅力を伝えたいし、訪れる方一人一人の感じることを大事にしたい」

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奥入瀬渓流ランブリングの様子。

子どもや地元の方にもツアーに参加してほしい

村上さんが所属する「ネイチャーエクスペリエンス グリーンハウス」では、年間を通じてランブリングツアーを開催している。ランブリングとは目的を決めず気ままに歩きまわること。おしきせのプログラムではなく、その場で参加者の心が動いた対象に向かっていく。年代や体力を問わず楽しめるプログラムとして人気を博し、ときには村上さんも知らない植物や生き物に出会うことも。

「地元の方でも〝奥入瀬を歩いたことがない〟とか、〝十和田湖は乙女の像を見て終わり〟という人がいる。身近すぎて価値に気づかないのかもしれないけど、すごくもったいない。だから子どもたちや地元の人向けに自然を紹介するツアーをやりたいんです。子どものうちから自然に触れて楽しみ方をおぼえれば、地元を好きになるきっかけになると思うんですよ。十和田に住むことに誇りをもってもらえたら」
単身の移住から8年が経ち、いまは妻と息子の3人家族。長男・唯月(いづき)くんの将来と、地域の未来とが重なる。

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この記事は雑誌「TURNS 2016年10月号(発行元:(株)第一プログレス)」に掲載された記事を再構成したものです。

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