伊藤 裕(いとう ゆう)さん/弘前市生まれ・在住。「モノづくり」への興味から、八戸の高等専門学校、弘前大学理工学部、同大学院に進学し、電子工学を学ぶ。卒業後は、東京に本社を置くIT関連企業に就職し、名古屋を拠点に7年ほど勤務。コロナ禍を機に、かねてから心にあったUターンを決意し、地元での求職活動中に出会った弘前市のIT関連企業「株式会社パッション」に就職。都市部で培った質の高いスキルで企業発展に貢献している。 |
青森県内の高等専門学校、国立大学・大学院を通して電子工学課程を修了後、東京に本社のあるIT関連企業に就職した伊藤裕さん。配属された名古屋を拠点に、7年間を過ごしました。その中で迎えたコロナ禍。急速に進み始めたリモートワークの可能性に気づき、無機質な都会生活にピリオドを打ってUターンを決意しました。現在は、弘前に拠点を置く同業の企業で、未経験だったMacOS向けの開発など、幅広い業務を手掛けています。
まずはスキルアップ! いつかはUターンを心に誓い、都会生活にチャレンジ
経済社会のデジタル化が急速に進み、それに伴ってIT業界の市場規模が拡大し続ける近年。特に、2020年頃から世界的を震撼した新型コロナウイルスショックでは、人同士の接触や行動が制限され、テレワークやオンラインアプリなどの普及によって私たちの生活環境のあらゆるものがデジタル化し、その多様性や重要性がより明らかになりました。
「今でこそ拠点を選ばずに仕事ができる業種ですが、私が就職活動をしていた学生の頃は、希望していたITエンジニアの仕事ができる地元企業の採用情報はほとんどありませんでした。当時の採用条件を見て、製品開発に関する実績がないと就職は難しいと思い、スキルアップのために一度東京に就職することにしました」。できることなら、地元での就職を希望していた伊藤さん。進みたかった職種に就くことは、当時ではまだ困難な状況でしたが、いずれはUターンしたいという希望を持っていました。
コロナ禍で変化した生活様式に新しい働き方の可能性を見い出す
東京に本社を置くIT関連企業に就職が決まり、まもなく名古屋支店に配属。普段から、「満員電車や高層ビル群など、無機質な都会の環境は肌に合わない」と感じながらも、名古屋で暮らして7年が経った頃、新型コロナウイルスの感染拡大が世間を賑わせ始めました。「コロナ禍のひとり暮らしでは、いろいろと思うことがありました。ウイルスが流行し始めた当時は、まだテレワークやリモートワークの整備が不十分で、自社で実践したのも数回程度でしたが、普及していくのだろうなと直感しました」。コロナ禍を背景に、場所を選ばなくても仕事ができるという新たな働き方の可能性に気づき、Uターンを決意したといいます。
身近な感覚を探るため、地元のハローワークで求職活動
Uターンにあたり、民間の転職サイトやハローワークなどインターネットサイトを活用して求人情報を調べましたが、実際に身近な感覚で確かめたいと地元に戻り、実家のりんご園を手伝いながら就職活動を始めました。「弘前の複合施設内にあるハローワークを通して応募したのが今の会社です。ここでなら、これまでの経験を活かせる仕事ができるなと。大学卒業当時のイメージしかなかったので、弘前で希望の業種を見つけたときは嬉しかったですね」。新卒当時に比べると、県内でのシステム開発を扱う企業が増えたことに驚いたといいます。
平均年齢30歳代前半の優秀なスタッフ陣がイキイキと働く「伸びしろ」のある職場
伊藤さんが勤める「株式会社パッション」は、主にApple社のMacOS向けのアプリケーションやシステム開発を専門とする弘前の企業。ビジネスシェアが広い「Windows」だけでなく、増え続けるMacユーザーの需要にも幅広く対応しています。両者のOSを包括的にサポートできる数少ない企業としてその有益性は高く、首都圏を中心に全国からの受注も増えているといいます。「主に法人向けのシステム開発を担当しています。個人での作業が主体ですが、大きな案件はチームで対応することも。社内のグループミーティングや社員とのコミュニケーションは大事です。システムエンジニアとして、幅広い案件を経験できることにやりがいを感じています」。社員28名、平均年齢は30歳代前半、そのうち半数がUターン採用者。そのうえ、伊藤さんを含むシステムエンジニア全員が青森県出身と、同僚スタッフとの共通点が多いことも、意欲的に仕事に向き合える要件のひとつになっています。
「岩木山」に包まれながら、ゆとりある人生を歩みたい
現在は、弘前市の実家から自家用車で通勤しているという伊藤さん。都市部と比較しても経済面や就労時間など、勤務条件的な違和感はほとんどないといいます。「業務次第では時折残業もありますが、週休二日制は実践できています。名古屋勤務の際も残業はそれなりにありましたし、通勤時間も長かったので、むしろ今のほうが時間にゆとりを持てています。自宅には家族がいてくれるという安心感もありますし。弘前での暮らしにも余裕が出てきたので、やりたかったことにチャレンジしてみようかなとも考えています」。
Uターンしたことによって自分に適したライフ・ワークスタイルを見つけ、心の故郷「岩木山」を身近に感じる喜びを、穏やかな笑顔にみせる伊藤さん。「今後もこの職場でさまざまな開発に携わり、会社の業績向上をめざすととともに、全国に「弘前」を発信できるよう努めていきたいです」。
採用担当者より
株式会社パッション 企画室・ディレクター 小山内 博文さん
当社は、MacOSの開発を専門とする「Appleのスペシャリスト集団」。弘前大学を中心とした学園都市である「弘前」に拠点を置くことで、地元の優秀な人材や実績の高いUターン就労者を採用し、エンジニアの育成と業務拡大に努めています。クライアントの多くは首都圏の企業。伊藤さんのような経験豊富で、スキルの高い人材は企業の財産です。社長も隣町・田舎館村出身で、青森愛にあふれた職場。Apple社との確認や交渉事などさまざまな業務体験を通して、当社でやりがい見つけてほしいと思います。
株式会社パッション
https://www.passion-s.jp