移住者メッセージ

親の介護に合わせて教師を早期退職しシニア移住。カフェ経営にチャレンジ

   

2024年4月19日:更新

移住者メッセージ

プロフィール

   

佐藤るり子(さとうるりこ)さん/青森県北津軽郡中泊町出身。弘前大学卒業後、東京都の公立学校で40年近く教員生活を送る。2019年6月に早期退職し、故郷の中泊町にUターン。母親の介護をしながら、第二の人生にチャレンジするため、2020年6月にカフェ&バル「田家(でんけ)」をオープンしました。

 

佐藤さんは青森県旧中里町(現在は中泊町)に生まれ、弘前大学を卒業後、教員試験に合格し東京都に移り住みました。仕事での実績を積み、家庭も持ち、東京で幸せに暮らす中、実家に暮らす両親の介護話が持ち上がりました。同じように実家を離れて暮らす妹さんたちと代わる代わる実家へ戻って介護を続ける中、佐藤さんは自身が実家にUターンする決意をします。

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食べる、寝る暇もないぐらいの教師時代

 青森県で生まれ育ち、大学卒業後、就職のため上京した佐藤さん。教員としてキャリアを積みながら、東京での暮らしを楽しんでいました。仕事面では、管理職にキャリアアップし、やりがいをひしひしと感じながら、猛烈に働きました。忙しい時は、朝6時に出勤し、帰宅が夜12時だったこともあるそう。

 そろそろ定年も身近に感じてきた頃、青森県に住んでいる両親が体調を崩し始めます。まずお母さまが大病を患い、それをサポートしながら暮らしていたお父様が入院後2017年に他界。

 佐藤さんは、同じように実家を離れて暮らす妹さんたちと介護を分担し、何度も青森と東京を行き来しました。そんな中「いつかは帰りたい」と思っていた青森に、このタイミングで帰ってみるのはどうかと考え始めました。

 お母さまの認知症が進んだこともあり、佐藤さんは介護のために早期退職することを決意します。Uターンする1年前には、介護のためだけでは精神的に良くないと、カフェを開く構想も練り始めました。

 1年かけ、仕事の引継ぎと家族の説得を続けながら、カフェのメニュー開発や、カフェのための空間作りを計画し、2019年6月にUターンします。 

Uターンしどんどん新しいことへチャレンジ

 佐藤さんはUターンし、介護をしながら、次々と新しいことにチャレンジしました。

 まず、カフェ営業のノウハウなどを学ぶため、県内に10箇所設置されている青森県の創業支援施設を訪れました。

「インキュベーションマネジャーの方に相談することで、自分のやりたいことが明確になりました。何かはじめたい人は、利用しない手はないですよね。」

 次に県内の飲食店を周り、自分のやりたいカフェの形態を探りました。同じく教員だったご夫妻が営業している五所川原市の「ギャラリーカフェふゆめ堂」さんに影響を受け、飲食だけではなく、ギャラリーのような遊びの空間がある建物のプランを立てました。

 建設がはじまってから、佐藤さんは東京では全く必要としなかった運転免許取得のため、自動車学校に通いはじめます。

「タクシーで介護施設まで往復することもあり、自分で免許を取るしかないと思いました。冬道は苦手ですが、免許のおかげで行動範囲は広がりました。」 

 
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趣味が活かされたカフェ空間

 2020年1月に建物が完成し、カフェ&バル「田家(でんけ)」はプレオープンを果たします。店内は、ふくろうや木立をモチーフとした絵画や陶芸、パッチワーク、植物など、佐藤さんが集めた温かみのある品に溢れ、来た人をゆったりとした気持ちにさせてくれます。

 しかし、プレオープンしてすぐ新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が発令されました。

 

「新型コロナウイルスで苦しかったですか、とよく聞かれますが、売り上げはオープン当時から今まで乱高下することもなく変わっていないんです。自分の介護経験の話をしながら励ましてくれるお客さんもたくさんいて、嬉しいですね。」

 介護の息抜きのためにはじめたカフェでしたが、いつからか、お客様とのコミュニケーションがやりがいになっていったそう。

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Uターンして気づいた青森の良さ

 2022年夏には施設に空きが出たため、佐藤さんのお母さまは施設に入居しました。

「介護のためにUターンしたのに、母が施設に入ったら自分は何をしに来たんだろう、と悩んだ時期もありました。」

 カフェがおやすみの日は、お母さまと面会したり、弘前市のカフェ巡りなどを楽しんでいる佐藤さん。Uターンして改めて気づいた青森の良さについて伺ってみました。

「高校時代に通学に使っていた津軽鉄道ですが、帰ってきてから乗ったら、改めて景色の美しさに感動しました。桜の時期はもちろんですが、5月頃に車窓から見る満開の藤の花は本当におすすめです。野菜や海の幸も改めて美味しいと思いましたね。」

 昔の同級生たちがカフェのお客様として訪れることも多いそう。

「中学校や高校から会っていなかった友達たちと再会して、また仲良くなれるのは嬉しい発見でした。お互いの歴史を話して、どんな苦労をしてきたのか知ると、リスペクトできますし、友情が深まるんです。」

やらない理由はいくらでもあるけど、いくつになってもチャレンジ

 時々悩みながらも、青森での日々を楽しんでいる佐藤さん。東京のお友達は恋しくないかと伺ったところ、お母さまが施設に入所したことで、最近はちょくちょく遊びに行けるようになったそう。

 カフェでは、東京にいる時から趣味だった二胡の練習会が週1回(毎週火曜日PM)開催されています。

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「6月には二胡の発表会をする予定です。読書会が開催されることもありますし、イベントも力を入れていきたいですね。」

 佐藤さんは、東日本大震災の時、帰宅困難者の受け入れのため学校に泊まった経験もあり、バリアフリーの店内を活かして、地域の防災拠点にならないかという構想も考えているそう。

「田舎ならではの近所の方との濃密な関わり方は、Uターンしてすぐは驚いたこともありました。でも、小さい町に住むからこそ、顔も覚えられるし、その人に合ったケアの仕方を地域と共有していきたいです。」

 地域のイベントとして、自発的かつ定期的に開催することで、防災の意識を高めていきたいそうです。赤ちゃん連れにも嬉しい小上がりのある店内を活かして、カフェ以外の構想も膨らんでいます。

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「Uターンしてカフェを始めない方がいい理由なら山ほどありました。でも、やりたいことがあるなら、やる前から諦めないでチャレンジしてほしいですね。」

 人生100年時代を迎えた今、元気に活躍できる期間は長くなっています。佐藤さんは、故郷の青森で、ゆったり過ごすイメージのシニア移住とは違う、パワーに溢れた移住ライフを身を以て体現してくれています。

 
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