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関係人口レポート

【氣仙修さん(東通村)】若者、よそ者の力で村を元気に。東通村への熱い思い

   

2024年4月18日:更新

   

 本州のてっぺん、下北半島の東端に位置する東通村は、29の集落が点在する人口約5,000人の村です。漁業と農業が盛んで、各集落に受け継がれている能舞は、国の重要無形文化財にもなっています。

 今この村に、若者が次々と訪れ、新たなチャレンジを始めています。引き寄せた仕掛人は、氣仙修さん。イベントデザインや印刷業を手掛ける有限会社コスモクリエイトの代表として、これまで数々の村おこし事業や若者のアイディアを落とし込んできました。なぜ若者とのつなぎ役となったのか。その思いを伺いました。

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プロフィール

氣仙 修(きせん おさむ)さん

 東通村生まれ。富士フィルム株式会社を退社後、東通村にUターン。有限会社コスモクリエイトを起業し、主にイベントデザインや地域おこしに力を入れて活動。東通村観光協会会長も務め、東通村の豊かな自然や人の魅力を伝えている。

 

 

よそ者、若者、ばか者をつなげて30年

 

 尻屋崎の灯台に寒立馬、猿ヶ森砂丘など他にはない風景がある東通村。下北ジオパークにも認定され、歴史的な伝統芸能も残るこの村で、印刷物の制作やデザイン、イベント企画を手掛ける有限会社コスモクリエイト。代表の氣仙修さんは、設立以来30年間「よそ者・若者・ばか者をつなげることを生業にする」をコンセプトに、地域を盛り上げる事業を広く展開しています。

 「東通村は豊かな手つかずの自然と、人を受け入れる気質にある。外から来た人も、温かく迎えてくれるんだよ。でも小さな村だから行動したくてもできないこともあるでしょ。それを、『よそ者』『若者』に村に来てもらって、盛り上げていきたいんだよね」。

 実際にイベントを企画した時には、地元の人達が積極的に協力し、一緒に動いてくれるといいます。そんな人の温かさが村の魅力のひとつでもあると、氣仙さんは熱く語ります。

村に関わる人を増やし、訪れる人と地域をつなげる

 2004年から東京の小学校との交流事業で、第二のふるさと作りとして、氣仙さんたちが先頭に立って子どもたちを迎えています。2泊3日のホームステイでは、ブルーベリー農家で農業体験をしたり、カニかご漁、郷土文化体験など、都会では経験できないことばかり。村での体験は心に強く残るようで、大人になって再び村を訪れる人も。東京のイベントに出展すると家族で訪れたり、スタッフとして手伝ってくれる人も大勢いるそうです。

 また、大学生のインターンシップの受け入れも積極的に行っています。きっかけは、2015年に村を訪れた弘前大学の学生、小寺将太さんとの出会いでした。

 「東通村まで農業の調査に来たらしいんだけど、おもしろいやつだなと思ってね」と話す氣仙さん。小寺さん自身も、交流事業や地域おこしに力を入れている氣仙さんの活動に興味をもち、何度も村を訪れたそうです。小寺さんのさまざまなアイディアや感性に氣仙さんも刺激を受け、若者をもっと呼び込もうと、インターン生の受け入れがスタートしました。期間は休みを利用した1ヶ月間。この間に、さまざまな企画を立て、実際に学生に取り組ませます。

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キャプ)インターン生と地元の高校生

 

 「1期目は滞在型観光を企画した。宿泊施設がないから、空き家を改装してはどうかって。空き家対策にもなるし、観光につながれば、自社の仕事にもなる。地域にもつながるでしょ」。

 実はこの空き家事業は、村を離れた若者の"帰る場所"にもなっています。地域には高校がなく、遠方まで通う必要があるため、村から出る人が多くなります。それでは東通村は故郷だという感覚が薄れてしまうのでは、と氣仙さんは考えていたのです。

 「帰る場所を作れば、大人になっても戻る人が増えると思ったんだよね。それで、高校生も巻き込んで、空き家を改装したんだよ。学生は『できない』と思わずにいろんな発想をし『やっちゃおう』と実現する。それが企業にとっても励みになるんだよね」。

 設計からすべて学生が担当し、氣仙さんを含む大人は費用などの面をフォロー。1階はコミュニティスペースにし、2階は宿泊スペースという若者、よそ者だからこそできる施設を誕生させました。

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キャプ)空き家リノベーションのワークショップ(左奥に座っている氣仙さん)。小寺さんは、2018年に村に移住し(一社)tsumugu設立。インターンの受入企業も下北地域で6社に増え、これまでに150人以上のインターン生が来ている。

 

 

チャレンジしたい若者に場を提供し、定住へとつなげたい

 

 インターン生に加え、地域おこし協力隊と共にレストラン経営も計画中。さまざま生まれるアイディアは、すべて東通村の存続につながるといいます。

 「ここに住みたいと思ってもらえるのが目標。関わりを増やして、定住のきっかけづくりをしている。実際に5人移住した人がいて、外の目線から魅力を発信してくれてることが、村のためにもなると思ってる」。

 若者の考えに一緒に取り組み、自らの力で実現させている氣仙さん。その姿勢は若者の心に強く響き、インターンが終わったあとも人生相談や結婚報告の連絡がくるそう。

 「嬉しいことに、村に来る若い人はみんな、俺に会いたいんだって(笑)。氣仙さんにパワーをもらいに行きたいって言うんだよ。遠いけど気軽に来れる、関われる所にしていきたいね」と話します。

東通村をこよなく愛し、関わろうとする人を受け入れ、応援する氣仙さん。その存在が東通村の一番の魅力なのかもしれません。

 

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