水梨 嘉広(みずなし よしひろ)さん/1989年、神奈川県出身、三戸町在住。「REGAIN株式会社 八戸マーケティングセンター」センター長。小学3年の時に神奈川県から父の出身地である三戸町に家族で転居。高校卒業後、東京都内の大手家電量販店に9年間勤務。2017年に三戸町に戻り、「REGAIN株式会社 八戸マーケティングセンター」入社。2019年、センター長に就任。 |
神奈川県で生まれた水梨嘉広さんは、小学校3年生の時に父の実家がある青森県三戸町に家族で転居。高校卒業後は、東京都内の大手家電量販店で販売員として働いていました。Uターン後は、「REGAIN株式会社 八戸マーケティングセンター」に入社し、入社2年目でセンター長に就任。東京の企業と変わらない仕事に従事しながらも、週末には仲間とアウトドアを楽しむなど、オンもオフも充実した地方暮らしを楽しんでいます。
30歳までには地元に戻る予定で、首都圏に就職
「首都圏での就職を希望したのは、自分が生まれた場所に行ってみたいと思ったことと、両親の勧めがあったから。大工である父の跡を継ぐことは考えておらず、自分が得意なことを東京で見つけたいという気持ちでした」と、水梨さんは語ります。
大手家電量販店入社後は、新宿西口店、その後、新宿東口店に配属になり計9年間勤務しました。「もともと30歳までには地元に戻り、正社員として働きたいという希望があった」という水梨さん。東京で働いていた頃から青森県の企業をリサーチしたり、県外で働く友人たちから情報収集していたと言います。また、三戸町役場のHPに掲載されていたUターン者の事例を読んで、移住後の暮らしをイメージしていました。
「いくつか目星をつけていた会社はあったものの、Uターン前に就職先が決まっていたわけではありません。最初の1~2カ月は自分のやりたい仕事を見つけ、全部落ちたら自営業を始めようか...といった気持ちで、2017年、三戸町にUターンしました」。

「接客スキルやITの知識を生かせるかも知れない」と思い、入社を決意
八戸マーケティングセンターの業務は、ITを駆使した営業支援です。業務の柱は、IT・マーケティング業界の企業を対象に、電話やチャットで対応を行うコンタクトセンター業務です。そのほか、蓄積されたデータをもとに自社開発したAI搭載型チャットシステムを大手企業に提供しています。さらに、同じくIT・マーケティング業界の企業を対象とした、戦略立案、実行支援などのコンサルティング業務も行っています。
「社内にはエンジニアもおり、たとえば、Webサイト来訪者のクリック数を上げたいという企業のニーズに対して、当社のエンジニアが分析して改善に向けた提案を行うなど、売れる仕組みづくりの支援を行っています」。現在、従業員数は約200名で、平均年齢は33歳。ほとんどが地元雇用です。
地元に住みながら、大手企業を相手に東京の企業と同じ働き方ができる
2017年、水梨さんは管理者候補の一般社員として入社し、当初はオペレーター業務に携わっていました。「当社は、本人の意欲や希望に合わせてキャリアパスを組んでくれるので、私も自分のキャリアプランを描き、やりたいことにどんどん挑戦しました」。
そうしたことが評価につながり、入社2年後にはセンター長に就任。現在はセンターの運営をはじめ、東京本社や福岡、宮崎にある地方拠点をオンラインでつなぎ業務にあたっています。
八戸市は、新幹線や高速道路など交通の利便性が高く、雪も少ないことから誘致企業の進出が盛んな街。10年ほど前からは、中心街に数多くのIT企業新が事務所を構えています。2014年には、業界全体の知名度向上とイメージアップを図り地域活性化を目指そうと、進出企業と八戸市、青森県が連携し、「八戸IT・テレマーケティング未来創造協議会」を設立しました。
「コロナ以前は、協議会参加企業合同でイベントやスポーツ大会を開催したり、八戸三社大祭に参加するなどさまざまな活動を行っていました。交流会などで話を聞くと、東京でないとできないと思っていたエンジニアの仕事が地元でできたり、住み慣れた地元で、ビッグクライアントを相手に東京の企業と同じ働き方ができることに喜びを感じているという声を聞きます。ITインフラを活用すれば働く場所を選ばず、都市部にとらわれる必要はありません。図らずもコロナ禍で証明できたので、青森にいながら新しいことにチャレンジできる可能性も高まったと感じています」。
休日はアウトドアライフを満喫
Uターン後、水梨さんは、青森の人の温かさを感じることが多く、休日の過ごし方も変わったと言います。「東京は人が多いだけに、他人のことに無関心にならざるを得ないのですが、帰郷後は青森の人って温かいなと感じる場面が多いですね。また、東京にいた頃は、新幹線で1時間半近くかけて新潟県越後湯沢までスノーボードに出かけていたのですが、今では車で手軽に行ける距離にスキー場があります。最近はキャンプも始め、週末は仲間と一緒に自然のなかでゆったり過ごすなど、人生がとても豊かになったと実感しています」。
同社ではこれまでもUIJターン者を積極的に受け入れており、東京で説明会を開催したり新卒者向けにSNSでの発信を行っています。「多様な働き方に注目が集まっている今こそ、地方で働くことのメリットに目を向け、選択肢の一つに加えてほしいと思います。私自身も、今後は地元に貢献するための取り組みや、地方だからこそできることにさまざま挑戦したいと考えています」。地方ならではのスローライフを楽しみながら、キャリアもあきらめない。これからの働き方として、ひとつの理想の姿なのかもしれません。
REGAIN株式会社