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関係人口レポート

【東京ねぶた連合會】囃子、ねぶた運行、跳人が"三つ巴"で青森をPR《お祭り編:ねぶた団体@首都圏》

   

2024年4月18日:更新

   

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・団体概要

名称:東京ねぶた連合會 

設立:2006

平成252013)年、青森市観光大使就任

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*ロゴ


首都圏にいて懐かしくなる故郷のお祭り。中でも青森県出身、青森ファンなら「ねぶた祭り」と聞くだけで気持ちがジャワメグ(津軽弁で「ぞくぞくする」)方が多いのではないでしょうか。拠点を都内に持ち、青森市観光大使として活動している3つのねぶた団体をご紹介します。毎年10月末に中野区で開かれる「東北復興応援展なかの」、1月に東京ドームで開かれる「ふるさと祭り東京」でともにお囃子を披露し、青森をPRしている各団体は、設立の背景や思いもさまざまです。

 

東京ねぶた連合會会長の今西崇之さん(東京都出身)、副会長の毛呂督さん(兵庫県出身)に、会のエピソードやストーリー、ねぶた愛を伺いました。

https://nebuta.tokyo/

https://twitter.com/nebuta_tokyo

https://www.facebook.com/nebuta.tokyo

 

 

靖国神社のお祭りで青森のねぶたを奉納

ーーまずは、どういった団体か、設立の時期や経緯について教えてください。

 

今西崇之さん(以下、今西さん):東京ねぶた連合會(以下、連合會)は首都圏での観光PRイベントなどに参加させていただいており、200641日に設立されました。設立の一番大きな目的は、東京・靖国神社が毎年713日から16日まで行っている「みたままつり」への青森ねぶた奉納です。関東のお盆の時期のお祭りで、境内には大小、合わせて3万を超える献灯が掲げられる「光の祭典」で、神輿曳き回し、青森のねぶた、阿波踊り、江戸芸かっぽれ、吹奏楽団パレードなどの奉納行事や、「能楽堂」にて各種奉納芸能が行なわれます。

 

みたままつりでは灯ろうや提灯が境内に飾られるので、ねぶたも灯ろう的な意味づけであり、青森県出身の方も祀られているということで、奉納させていただいています。囃子方を中心に、ねぶたを曳く運行方、跳人と3つの柱が揃っているので「連合會」という名称にしています。中心となっているのは1997年に設立された囃子方で、当時は70人を超える会員がいました。運行については、神奈川県で青森県人の方たちが組織するねぶた愛好会の皆さんが参加してくださっています。

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ーー奉納する際にはねぶたも"出陣"するのですね!ねぶたを所有されているのですか。

 

今西さん:はい、青森工業高校のねぶた部に制作を依頼した小型ねぶたを1台持っていて、靖国神社の倉庫に奉納・保管していただいています。みたままつりに奉納するのは1日だけなので、当日は朝からバラバラに分解している部材を倉庫から出して組み上げ、台座に載せて完成させます。夕方からお囃子とねぶた運行を奉納し、終了後はすかさずバラし、その日のうちに倉庫にしまうという、大仕事をしています(笑)。跳人は、協力団体の皆さんにも参加いただき、連合會の跳人メンバーが先頭を切って盛り上げてくれています。

冬の青森で寒さを体感しながら、お囃子を習う

ーーお囃子にはどんな方が参加し、どういった場所で練習しているのでしょう。

 

今西さん:囃子方はいま、小学生から70歳くらいまでの約60人で、青森県出身の方が半分くらいです。板橋や中野、北区などの公共施設の音楽練習室などを借りて、月に2回程度集まって練習しています。コロナ禍になってからは換気がしやすい場所ということで、板橋の公共施設を使用することが多かったのですが、これからは少しずつ以前のように戻していけるかと思っています。

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ーー青森ではねぶた組によってお囃子の節回しが違いますが、連合會さんはどちらのお囃子ですか。

 

今西さん:私たちは、「青森ねぶた正調囃子保存会」から指導を受けています。囃子方の母体となった団体がかつては正調囃子の方を招いて習っていたので、そのまま継承しています。2015年からは有志が冬の青森に習いに行っています。青森市の観光大使に任命していただいているので、現地のお囃子と違ってはいけないという思いです。ねぶた祭りは夏ですが、冬の寒い時期があるからこそ、津軽の短い夏をありがたく感じている青森の人の気持ちを実感できるよう、あえて冬の青森に足を運んでいます。

 

駅での青森PRイベントなどでねぶたとともにお囃子披露

 

ーーみたままつり以外に活動している場があれば、教えてください。

 

今西さん:10月に中野区が主催する「なかの東北応援まつり」、1月に全国のお祭りが東京ドームに集まる「ふるさと祭り東京」で、首都圏の他のねぶた団体と一緒に出演します。他には、青森市がJRの各駅コンコースで開催する市のPR事業や、11月に県が板橋イオンで開催する青森県フェアなどに当會が所有するミニねぶたを持って行き、跳人と一緒にお囃子を披露しています。コロナ禍でそういったPRイベントが開かれた時、私たちがいけなくてもミニねぶただけが"出張"したこともあります。見る人に元気になってもらえたと思います。

 

東京・赤坂にある青森県東青地域のアンテナショップ「アオモリンク赤坂」とはPRイベントをご一緒することも多く、ミニねぶたを修理するタイミングで店内をお借りして、和紙を貼り替える「紙貼り体験」などを行ったこともあります。溶かした蝋で線を引いた時など、「蝋の匂いが懐かしい」といった県出身の方もいらっしゃいました。青森を思い出してもらえる機会になったかと思います。

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ねぶたの紙貼り体験をサポートする今西さん(右)

 

――お二人は青森出身ではないそうですね。ねぶたの会に入られたきっかけなど教えてください。

 

今西さん:私と毛呂さんは20代はじめの頃に共通の知り合いを介して出会い、ねぶた好きの人に誘われて青森に行った時、間近でねぶた祭を見てそのエネルギーに圧倒され、一気にハマりました(笑)。今は開設されなくなりましたが、当時、青森市油川のフェリー埠頭近くで設置されていたキャンプ場でキャンプをしながらお祭りに参加したことで、今も"ねぶた熱"が続いています(笑)。

 

毛呂さん:毎年、披露の場に向けた準備を始める6月頃から秋くらいまで、毎週のように首都圏や青森のねぶた関係の人に会っているので、あれよあれよという間に「知り合いは津軽弁を話す人ばかり」になっています(笑)。

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ねぶたを曳く毛呂さん(左)

 

見る人たちから自分たちに、笑顔が伝播

 

ーーコロナ禍もほぼ収束したいま、これから青森とどう関わっていきたいですか。

 

今西:この3年間で、ちゃんと練習ができていなかったり、練習がない期間も長かったので練習に来づらいと感じているメンバーもいるかもしれないので、いま一度、みんなの気持ちを集めて、再スタートするイメージです。4年ぶりに開催される靖国神社での奉納をまずは成功させたいです!そして、私たちはねぶたを披露することで、自分たちが楽しませてもらっているので、見てくださった方が「青森に行ってみたい」と思い、いつか実際に青森に行ってもらい、青森が盛り上がってくれればと常に考えています。

 

毛呂さん:私は青森の祭り本番では青森市役所のねぶたに曳手(ひきて)として参加させていただいていますが、曳いていると沿道のお客様にぐっと近づく瞬間があります。その時、お客様はみんな歓声を上げながら、本当にいい笑顔で大きな山車を見上げています。そんな祭りの熱気を、首都圏の人たちにも感じてほしいですね。

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ーーありがとうございました。これからも、素敵なお囃子とねぶたをたくさんの方に披露してください!!

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